研究内容

研究内容 #

細胞画像解析(博士課程/2022-) #

深層細胞画像解析モデルに求められる学習データ要件を検証しています。

再生医療や細胞治療は、難治性疾患等を治す新たな治療法です。しかし、治療用細胞の製造には熟練者の感覚と経験が必要で、製品の高額化や品質の不安定性が課題となっています。AIによる自動的な細胞品質評価が期待されていますが、バイオデータの収集には膨大なコストがかかるため、「どんなデータを、どの程度収集する必要があるのか」ということを明確にする必要があります。そこで私は、多様なデータセットで学習させた深層学習モデルの応答を比較し、必要な画像枚数や用意すべき細胞形態のバリエーションなどの要件を検証しています。

医用画像処理(修士課程/2019-2022) #

肺CT画像から微細構造領域を抽出するための画像フィルタについて研究しました。

肺の末端には、肺胞や肺胞管などの「不明瞭構造」があります。これらの構造は三次元的に入り組んだ配置に加え、壁が途切れているという特性から、CT画像上で非常に不明瞭に映ります。そのため、医師にとって観察が困難であり、病態解明に課題を生じていました。そこで、私はこの不明瞭構造の領域を抽出するために、距離変換を応用して壁の途切れを補う新たな画像フィルタとして「不明瞭構造フィルタ」を開発しました。開発したフィルタを実際にCT画像に適用することで、細気管支・肺胞管・肺胞の構造の抽出と直感的な可視化ができることを示しました。

データベース(学部/2018-2019) #

3D TINと呼ばれるデータ構造に特化したデータベースについて研究しました。

TIN(Triangulated Irregular Network)は、三角形の集合で領域を表現するデータ構造です。各頂点に3次元座標を与えた3D TINは、三次元地図などの立体構造を効率的に表現する手法として期待されています。しかし、3D TINは現状、バイナリファイルに格納されていることが多く、3Dデータの大規模化や活用場面の広がりに対応するためには、より効率的なデータ格納方法の開発が求められていました。そこで、私は、先行研究として提案されていた2D TINのデータベース格納手法およびTIN操作処理系を3次元に拡張する手法を考案しました。また、OSSデータベースフレームワークを利用して実装およびテストデータでの検証を行い、考案した手法が実現可能であることを確かめました。